職人の伝統技術×経営の効率化で、100年後も残り愛される店へ。親子2代で挑む、新しい寿司屋の形【株式会社アミノ代表取締役インタビュー 〜後編〜】

 

豊かな漁場として知られる三陸沖に面した宮城県で、舌の肥えた地元の人々をうならせ続ける、実力派の寿司チェーン「うまい鮨勘」。

石巻市内の小さな寿司屋として産声をあげ、2020年現在では国内外に30店もの回転寿司・寿司料理店をかまえる一大グループです。

その成功の裏側には、どのような歴史や背景があるのでしょうか。

食リーチでは、運営会社である株式会社アミノ代表取締役・上野敏史氏(以下、上野社長)へインタビューを実施。

前編では、上野社長が現在の役職に就任するまでの経緯をお話しいただきました。

今回は後編として、上野社長ご就任後の経営改革の過程と、これからのアミノが目指す姿についてお話いただきます。ぜひお読みください。

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アミノ 上野社長

   


   

就任後の初仕事は600名におよぶ社員の1on1面談

  

創業者である父が築いたアミノへ入社し、毎朝4時起きの地道な下積み時代を過ごした上野社長。東日本大震災が発生を機に、30歳という若さで社長のバトンを渡されました。

社長就任後、まず取り組まれたことは何だったのでしょうか。

  

「若輩者でしたので、まず取り組んだのは従業員の皆さんの声を聞き、今後の会社が目指す方向性を共に考えること。そのために全社員との1on1面談をおこないました」

 

当時、アミノの社員は約600名。1人あたり30-45分、長い人だと60分におよぶこともあったといいます。

  

「話し合った内容は主に『人生や仕事に対する価値観』について。

具体的には、どんな人生を歩みたいのか、その中で仕事はどんな位置付けなのか、といったビジョンの話。

そして私自身の仕事観やビジョンも丁寧に説明し、双方の理解を深める作業をしたのです。一人ひとりと話した内容は、『会社の宝ノート』として今も大切に保管しています」

  

そう言って上野社長が見せてくれたのは、ぼろぼろになるまで使い込まれたたくさんの古いノート。上野社長が真摯に社員と向き合ってきた証です。

  

「私は『経営者の息子』であって、まだ『経営者』ではなかった。

創業者である父の時代は、彼自体が『動く経営理念』でありアミノの目指す姿。
カリスマ的な寿司職人であり、経営者として先見の明もありました。

私の代で企業としてより成長していくためには、理念の明文化と社内浸透が必要だと考えたのです。全員との面談は非常に時間のかかる作業でしたが、これから進むべき道を考え、経営理念として言語化するための貴重な時間でした」

  

社員と向かい合い笑顔で話す上野社長

  

仕事の哲学を「傍(はた)楽(らく)」の2文字に込めて。父が創ったアミノを一歩先へ

  

上野社長が目指したのは、社員全員が明確に目指す目標を持ち、その目標に向かって一体感を持って進む新しいアミノ。

それを実現するために、従業員の仕事に対する考え、自分自身のビジョン、これまでのアミノの歴史を織り交ぜて、新たに次のような経営理念を創り上げました。

アミノグループは傍(はた)楽(らく)仲間の成長と幸せを通じて、社会と地球が喜ぶことに貢献します

この理念の中でも、上野社長は「傍(はた)楽(らく)」という言葉に強い思い入れがあるのだといいます。

  

「もともとアミノは1軒の小さな寿司屋。『早く独立して、家族を養いたい』という父の想いから始まったお店でした。

それから店舗数が増えるに伴い、『板前を社会的に認められる職業にしたい』という新たな目標が生まれました。数十年前まで、一人前になるまで長い時間がかかる板前は、社会的な信用を得られない仕事でした。例えば家のローンがなかなか通らないなど、『他の仕事であれば当たり前にできる生活が出来ない』という問題があったのです。

成長をつづけながらも、根底にあったのはいつも『周りにいる人を幸せにしたい』という想いでした。私はこの想いを忘れないために、経営理念に『傍(はた)を楽(らく)に』という言葉を使いました」

  

うまい鮨勘店舗前での、社員の集合写真

   

もう1つ、上野社長が経営者として考え抜いたのは、「仲間と地域のために、そして寿司文化を100年後の未来に残すために、今すべきことは何か」ということでした。

  

「自分たちのためにただ利益を追求する、というスタイルはアミノには合いません。

では、地域や社会のために、今の自分たちに一体何ができるのだろう。
そしてそれを寿司屋であるアミノがやることにも意味がなくてはいけない。

そうして考えを深めていき、たどり着いた答えの1つが、宮城県での植樹活動でした」

  

アミノの本拠地・宮城県は何千年もの間、津波と闘い続けてきた地域。東日本大震災においても津波による被害は甚大なものでした。

そんな津波被害の軽減、未来の子どもたちに豊かな海と自然を残すことを目的に、アミノは2014年より植樹活動をスタートしました。

  

「これは、アミノが目指す『三方よし』を体現する活動のひとつ。単なるCSR(企業の社会的責任)としての活動ではありません。

寿司は漁業と農業のフュージョン。森が豊かでないと、豊かな海は育ちません。

木を植えることは、豊かな海と漁業を守り寿司を100年後の未来にのこすための、将来への投資でもあるのです」

  

植林活動の集合写真

  

寿司職人の技術や文化を守りながらも、新たな技術や仕組みを受け入れる会社へ

  

寿司文化とアミノを残すための、未来への投資。この考え方は店舗経営のあり方にも表れています。

  

「アミノでは、回転寿司や対面型の寿司屋、高級寿司店のほか、回転寿司の一歩先をいくタブレットによる注文と自動配膳システムを搭載した最新型の店舗など、さまざまな業態の店を運営しています。

トラディショナルな技術は残しつつ、システマチックな展開をする。これもすべて『100年先』を見据えた試行錯誤の一環です」

  

また、回転寿司店であっても仕込みはすべて人の手でするというのもアミノのこだわり。

セントラルキッチンでの調理や機械導入も進む中、アミノほどの規模の会社が、魚の仕入れから下処理までのほぼすべての工程を自社の板前が現場で行なっているというのは、非常に稀なことです。

  

「寿司職人として一流になるためには、才能よりもこなした仕事の”量”が大切。

手前味噌ですが、アミノでこなす仕込みの質・量は他の回転寿司店とは比較になりません。

その分、板前の成長スピードも早い。これははたらく人にとっても大きな魅力だと思いますね」

  

市場での仕入れの様子

  

また、昨今では板前としての技術を磨き続ける道以外にも、キャリアの選択肢を用意できるよう社内体制も変化させているのだとか。

  

「現在アミノでは店長職の次のキャリアとして、エリアごとのブロック長、さらに複数のエリアを管轄するスーパーバイザーのようなポジションなど新たなポストの構築を進めています。

もともと店長も板前出身の方がなることが多かったのですが、ホール出身者の店長職も増やし、組織の最適化をはかっているところです。

もちろん、現場が好きでずっと板前としての技術や接客のスキルを磨きたいという方はそれもよいです。本社へ異動し、商品や業態の企画に携わりたいという希望があればそれも考慮します。

独立心のある方も歓迎です。アミノは長年市場に通い買い付けを行なってきたことで、市場との太いパイプも構築できています。独立した方にはそうしたパイプも活用いただいています」

  

「うまい鮨勘」のラベルが貼られたマグロ

 

最後に、これからアミノへ加わる仲間に向けて、上野社長よりメッセージをいただきました。

  

「アミノは仲間の成長を喜び、高め合える会社です。

リーズナブルな回転寿司から高級店まで業態の幅が非常に広く、仕入れから下処理、仕上げまで経験できる工程も広いので、”寿司”というものへの理解が深まります。

そして、寿司は今や日本だけでなく世界へ展開できる、大きな魅力を持ったコンテンツ。

アミノではグローバルに目を向け、世界中から労働力ではなく未来ある職人として人材を発掘し、育てる計画も進行中です。

アミノで技術を磨くことは、日本はもちろん、世界のどこへ行っても通用する技術と知識を身につけることにつながります。

はたらく仲間や地域の方々、ひいては社会の役に立ちながら、100年つづき愛される会社をつくりましょう」

  

大手企業のアミノでは働き方改革への対応も万全。

これもまた、業界の”当たり前”にとらわれない若き経営者ならではの柔軟な経営改革のひとつです。

守るべき伝統は守りながらも過去のしきたりにとらわれない姿勢、そして“寿司”について広く深く学べる環境は、これからこの業界を志す人々にとって非常に魅力的な環境といえるでしょう。

  

 

上野社長を入社当時から知る人によれば「創業者の息子であることへのプレッシャー、職人でないことによる周囲からの厳しい反応、社長就任後に30歳の若さで組織をまとめていく過程には相当な苦労があったはず」とのこと。

それでも今では、多くの従業員が「若き社長を支え、ついていこう」と心をひとつにしているそうです。

株式会社アミノでは、共に歩む仲間を積極的に募集しています。

「もっと話を聞きたい」と思われた方は、ぜひご応募ください。

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