新型コロナで飲食店はどう変わるのか?東北の雄「うまい鮨勘」に聞く、ポストコロナの新しい寿司屋のあり方【株式会社アミノ代表取締役インタビュー】

2020年に入り、国内外で猛威をふるう新型コロナウイルス。

飲食業をはじめとし、サービス業界全体が多大な影響を受けてきました。

食リーチでは「新型コロナで飲食店はどう変わるのか」をテーマに、インタビューを実施。この厳しい時代において各社がどのように舵を切るのかを伺い、飲食業界の未来を考えます。

今回お話を伺うのは「うまい鮨勘」をはじめとし、国内外に30店もの回転寿司・寿司料理店をかまえる株式会社アミノの代表取締役・上野敏史氏(以下、上野社長)。

宮城県に本拠地を置き、2011年には東日本大震災を経験。以来、地元の復興に寄与しつづけてきたアミノは、コロナ禍をどう乗り越えてきたのでしょうか。

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アミノ 上野社長

   


   

最優先は”人命”。安全を確保しながら、食の楽しみを提供したい

  

2020年1月後半から国内の新型コロナウイルス感染者が発生し、瞬く間に感染は拡大。
2020年4月16日には緊急事態宣言の対象地域が全国まで拡大されました。

アミノグループでは、緊急事態宣言発令前の4月上旬から多くの店舗で店内営業の休業を決断。その背景で、何が起こっていたのでしょうか。

「最優先に考えていたのは、『人命』です。お客さま、従業員、お取り引き先やすべての関係者から感染者を1人も出さないことを目指しました。

一部営業を継続したのは、比較的感染リスクが低く商圏内で継続のニーズの強かった郊外型の回転業態、テイクアウトやデリバリーだけでも実施できる店舗、そしてお座席でのタブレットによる注文と自動配膳システムを持ち、ほぼ全席が独立遮断された半個室仕様と、人と人との接触を最小限におさえた新業態『ゆとろぎ』でした。

特にゆとろぎは、他業態に比べて売上の回復が早く、会社全体を大きく助けてくれました

営業を継続していた理由は、自粛ムードの中でも人々には食の楽しみが必要だと思っていたから。

できうる限りの対策をしてお客様と従業員の安全を確保しながら、美味しいお寿司を食べる手段は残す道を模索しました。」

  

  

店舗での営業は休業する一方で、各店の店長やSV、幹部層の間では連日オンライン会議が開かれていたといいます。現場から上がる不安の声や課題を共有し、できる限りその日のうちに対応策を検討し、各店へ落とし込んでいたのだそう。

「生ものを扱う寿司屋ですから、もともと衛生管理は徹底し、日々アップデートを重ねていました。それでもコロナ発生以降はより一層注意を払い、公共機関などからの情報を注視し、必要な対策は取り入れました。

店内へのアルコール消毒液設置、従業員の検温、体調管理に着手したのも比較的早い段階だったと思います」

結果的に、この期間の売り上げは昨年対比で40-50%と大きく落ち込んだといいます。

それでも努力の甲斐あって、店舗営業を介した感染拡大を発生させることなく、営業を継続することができました。

一連の体験は、アミノの財産となっているそうです。

 

コロナ禍に見た、新たな需要とはたらく喜び

  

売り上げは減少したものの、新型コロナウイルスによる気づきや良い変化もあったといいます。

「従業員たちがはたらく喜びを再確認できたことは、当人達にとってだけでなく会社にとっても大きな収穫だと思います。これは店内営業が当たり前にできていいた頃には気づけなかったことです。

お客さまと直接顔を合わせ、自ら握ったお寿司を提供できること、そしておいしいと感謝の声をいただけることがどれほど貴重であるか、営業再開以来、みんなで日々痛感しています。

そしてもう1つは新たな需要を見つけられたことです。

テイクアウトは以前から取り組んでいましたが、デリバリーはコロナを機に新たにはじめたもの。

ご高齢のお客さまをはじめ、ご自宅から店舗までの移動がむずかしいお客さまから『ひさしぶりに鮨勘のお寿司を食べられた』ととても喜んでいただけたのです。

収束後も、デリバリーは継続していきたいと考えています」

    

アミノでは店舗で人気が高かったデザート商品、完全無添加の自家製プリンを、近隣のスーパーマーケットへ卸す試みもスタート。食の楽しみをどうしたらより多くのお客さまへ提供できるかを考え抜き、これまでにないチャネルの開拓を進めました。

「コロナ以前より、新しい寿司屋のあり方を模索してきたことも功を奏しました。

2017年からスタートした新業態のゆとろぎは、タブレットによる注文と自動配膳システムを搭載した半個室の寿司屋。

もともとはお客さまのプライベートな空間を演出することと、店舗側の業務効率化を目的とした新たな試みでしたが、それがポストコロナ時代のニーズに合致していたのです。

お客さま同士の接触、従業員とお客さまの接触がほとんどありませんので、その安心感からかコロナ以降売上は順調に推移しています。

他の店舗にもこの仕組みを応用し、新しい生活様式へ対応していきたいと考えています」

 

「自分以外の、何かの役に立つ」、心でつながる飲食店へ

新型コロナウイルスによりもたらされた大きな変化。上野社長は、その変化を「前向きに受け止めたい」と語っています。

「新型コロナウイルスの1件は、もはや巨大災害のようなもの。それでも、これを経験したからこそ得られたものもあり、今後に活かしていけることがあると思っています。

例えばデリバリー事業のスタートもその1つ。

寿司は鮮度が命です。握りたてが一番美味しいので、本来の味をご提供するためには店内で召し上がっていただくのが一番良いのですが、やはりご自宅で召し上がりになりたいお客様もいらっしゃいますので、出来る限り品質を保つ工夫をしながらテイクアウトも対応しておりました。

ただ出前については、品質に加えて配送時の管理等、運営上の難易度も高くなるのでこれまで行っておりませんでした。 

それが今回コロナによる外出自粛によって、ご来店自体ができないお客様へお寿司を提供する手段として選択の余地はなく、デリバリーしかないことから、取り組む機会ができたのです」

アミノでは、これをきっかけにオンライン完結の注文システムを寿司業態に特化させ、新たなシステムを自社開発することも検討中。IT化が遅れている飲食企業などへの導入も手助けしたいのだと言います。

「こんな時期ですから、飲食業界みんなで力を合わせていきたい。アミノの本拠地である宮城から、東北の飲食全体を盛り上げたいと考えています」

  

 

人々の暮らしや価値観を大きく変えた新型コロナウイルス。

これから飲食店は何を求められ、どのような場所になっていくのでしょうか。

「飲食店のあり方や求められるものはこれから大きく変わっていくと思います。

まずお客さまの方では、美味しさや値段に加えて、人間の心の琴線にふれるような部分がもっともっと大切になってくるでしょう。『同じ寿司屋であれば、こっちのお店に残ってほしい』、そんな想いがこれからの来店動機になってくると思うのです。

そんな応援していただけるお店になるために、地域との繋がりを大切にし、社会のためになることをこれまで以上に行なっていく所存です。

そして、ゆとろぎのような時代のニーズに合わせたお店の開発はこれからもつづけていき、変化に対応できる企業でいたいと思います」

また、従業員にとってのお店と、存在意義も変わっていくはずと上野社長は語ります。

「コロナ禍で、今の自分に何ができるのか?と考えた人は多かったのではないでしょうか。これから、はたらく場所はお金以上に『自分自身の存在意義』を確認する場所になると考えています。

仕事を通して、自分以外の何かの役に立っている実感を育んでほしい。
経営者は、その環境を整えることがもっとも大きな役割になるでしょう」
  

 

最後に、ポストコロナ時代においてアミノが目指す姿について伺いました。

「アミノの社名は、栄養素の『必須アミノ酸』が由来なんです。

必須アミノ酸は体に必要なものだけど、人間の体内では作り出すことができません。

私は、寿司をはじめとした”外食”というのも、そういう存在だと考えています。人間には必要なものだけど、家庭で作り出せない味や空間を提供するものです。

コロナ禍においても、アミノはそうした食の楽しみを提供する企業でありつづけたいと思い行動しましたし、これからもそれは変わりません。

このアミノの根幹を忘れずに、時代に合わせて柔軟に進化をつづけていきます」

 

“不要不急の外出を控える“という呼びかけの元、飲食業界が広く営業の自粛を求められる中、飲食店で働く方の中には「自分たちの仕事は必要とされていないのか?」と自問された方もいらっしゃるかと思います。

食事の役割がただ空腹を満たすだけであれば、確かに家庭内で事足りてしまうかもしれません。しかし、飲食店という空間で誰かと食事を共にし、それが人の手で演出されることによってしか生まれない温かみがあります。

アミノの社名の由来と企業姿勢からは、そんな飲食企業としての自信と、誇りが感じられました。

  

  

震災やコロナ禍にも負けず、柔軟に時代に適応し、地域に根ざすアミノ。

同社では、新しい生活様式に対応する寿司店の開発・拡大と、ITの力による業務改革を加速する一方で、伝統的な職人技術の継承にも寄与していくとしています。

また、事業拡大にむけて新たな仲間も積極的に募集中です。

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