飲食店で働く人の適正年収はどのくらい?転職のプロに聞く、年収決定の3つのポイント
12〜1月は飲食店の繁忙期であると同時に、転職が増える時期といわれています。
「年末年始の繁忙期に区切りがついてから退職しよう」「年末の賞与をもらってから辞めよう」など、その理由はさまざまですが、飲食店で働く方々にとって、年末がひとつのキャリアの区切りとなっていることが要因のようです。
特に今年はコロナ禍。来年以降の働き方を考える方も増えていると考えられます。
今回食リーチでは、これまで多くの飲食業界内での転職をサポートしてきた経験をもとに、飲食店における「適正年収の考え方」を独自の視点で解説します。
転職すべきか、今の職場にとどまるべきかお悩みのスタッフの方々、給与の査定にお悩みの飲食店店長・オーナーの方々のご参考になれば幸いです。

飲食店スタッフの年収を決める3つの要素
給与の基準は企業によりさまざまですが、規模・業態に関わらず、大まかには以下3つの要素を複合して年収が決定されていることが多いです。
【1】飲食業界での経験年数
1つめは飲食業界における経験年数です。と言っても、「経験年数が長い=高額な年収をもらえる」と考えてしまうのは誤りです。
ここで言う経験年数から判断されるのは、「飲食業界への理解度」や「生活リズムに慣れているか」といった飲食業界そのものへの適性です。
経験年数からは、「飲食業界で働く上で、基礎となる部分が構築されているか」を見られていると考えておくと良いでしょう。
【2】経験の特殊性(人材としてのレア度)
次に重要となってくるのは、「これまでどのようなご経験を積まれているか」と「それがいかに希少な経験であるか」です。
同じような経歴を積んでいる方が少なければ少ないほど、「レアな人材」として、転職市場における価値は向上します。
また、ここでさらに重要となるのは「経験の希少性を客観的に判断し、伝える」ということです。
例えば「自分は料理長として10年勤めた。前の会社では10年続いた人材は他におらず、レアな人材だ」と伝えたとしても、応募先の企業で10年以上働く人がほとんどという場合、充分にそのレア度が伝わりません。
「10年働いた」ことがレアではない会社に対しては、その10年間を1つのジャンルを掘り下げることに使ったのか、さまざまな業態を経験してきたのかなど、より深く自分の経験を掘り下げて伝える必要があるのです。
【3】応募先となる企業の状況や考え方
最後のポイントは、応募先となる企業の状況・考え方です。
例えば、以下のような求職者と2社の飲食企業があった場合、年収交渉の余地は大きく変わってきます。
<求職者>
和食店の料理長として10年経験。基本的には接待などに使われる高級感のある店舗に勤務。会社として初の試みであったカジュアル使いの居酒屋業態のオープンにも携わっており、メニューの開発とアルバイト指導を担当。業態に合った利益率計算、オペレーションづくりはお手のもの。
<応募先企業>
A:都内の高級和食店。欠員補充による募集だが、現在働いている料理人はい3名で、いずれも経験年数15-20年のベテラン揃い。
B:飲食業は未経験の不動産企業。自社の空き物件を生かし、飲食店の開発に取り組みたいと考えており、軸となる人材を募集中。
Aの会社へ応募したいと考えた場合、求職者の強みと言える「10年の経験」と「新たな業態開発の経験」は、必ずしも「自社にぜひ欲しいレアな経験値」とは思ってもらえない可能性があります。
一方で、Bの企業の場合は「飲食店の開発に1から取り組みたいが、現場の知見があまりない」という明確な悩みがあります。求職者の経験はB社の悩みを解決してくれる可能性が高いものであり、年収についても交渉しやすくなると予想できるのです。
また「企業の状況・考え方」では、利益率や財務状況に加え、「飲食店で出た利益を何に使う会社なのか」という点も大きなポイントです。
一概には判断できませんが、通常であれば、「駅前などロケーションの良いお店を次々と出店している」「広告費に予算をかなり使っている」といった企業の場合、社員1人あたりにかけられる人件費は少なくなっていく可能性が高いでしょう。
適正年収を得るためには、自分と企業を客観的に分析すること

飲食業界と一言に言っても、業態・規模・利益率・地域性など、その内情は非常に複雑。そのため「業界経験が○年だから、適正年収は○○万円」決めるのはとても難しいものです。
しかし、どんな転職においても共通するポイントは、「どんな経験を積んできた方で、その経験は企業にとってどれほどの価値があるのか」ということ。
適正年収は、それを考慮した上で求職者と企業が共に考え、決定するのが理想的です。
「自分自身の経験の強みを生かし、もっとも適正な年収を得るにはどのような会社に応募したらよいのだろう」と迷われた際には、ぜひ一度ご相談ください。
また、「新たなポジションを募集するため、適正な年収がわからない」という飲食店側のご相談も歓迎です。
求職者と飲食店、双方にとって幸せな出会いが増えますように。
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